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使い込んだビンテージ古着シャツを、好きなアーティストのキャンバスに

使い込んだビンテージ古着シャツを、好きなアーティストのキャンバスに

どうも!稲垣です。自分はこのこだわり記事シリーズを書くのは3回目なのですが、傾向が見えてきました。

どうやら買ったものに何かしら自分の手を加えていったものに愛着を持ち、それをこだわりに無理やり変換してこの記事シリーズを書いているようです笑

確かに、例えばiPhone。形はスマートですし、嫌いではないのですが(初代SEの大きさがよかったなとかはありますが)どうもモノに愛着が沸いてこないんです。機種変更するときも割とすぐ次のものに移っていってしまって「これをもう二度と使わないのか」「捨てづらい」というような寂しい感覚は極めて少なくて、それは中身のデータ以外に自分が介在する余地がほとんどないからなのではないかとも思うわけです。

一方で例えばユニクロのスウェット。買った当時はただ無難なものを買っただけなのに、10年以上もパジャマとして使って朽ち果てるまで使ったら、めちゃくちゃ愛らしくなってきてしまったり。

このシリーズ記事1回目の椅子2回目のポスターともに、自分がそのモノと関わった痕跡があるんですよね。

ということで、今回も自分が割と大きめに関わったもののひとつをご紹介します。こちらのシャツ。

ぱっと見、ただのよれた赤シャツ

シャツの生地に限界が来ていて最近着ておらず、この使用頻度だったら本来捨てるはずなんですが、どうしても捨てられなかったんです。。この記事で供養させてください!(と言いつつ、やっぱり捨てられないと思う)

もともとビンテージ古着屋さんで購入

10年前くらいですかね、原宿のラフォーレ裏あたりのマンションの一室にvintage clothing NOVO!というお店がありまして、最初はビンテージ古着を販売されているのをTwitterで知り、その品々の美しさと現代では見られないバランスはもはやアートの域で、「一度ビンテージ古着なるものを見てみたい!」という一心で、尖りに尖った銀色の店内(ぼんやりした記憶ですが壁一面にアルミホイルが貼られているような質感)に足を踏み入れました。

クセつよでめちゃくちゃおっかない人が出てくると思いきや、自分以上に物腰の柔らかい加藤さんという店主の方にほっとしつつ、古着や加藤さんについてのお話をいろいろ聞きながら、何度か足を運んでいました。ただし、商品のセレクトが独特、さらにビンテージ古着なのでどうしても値が張りがち。なかなか凡人の自分には手が出ない中で、とあるとき、自分でも着られそうなシャツを発見し、買ったのがこのシャツです。

※NOVO!さんは、今はビンテージ古着にはとらわれないセレクトをされております~。こういう考え方を発信してるお方、好きです

買ったときはまったく気にしてませんでしたが、Richman BROTHERSといういかにも景気のよさそうなブランド笑。当時1950~60年代のものと聞いていたのですが、今改めてググってみて、この記事を参照すると確かに50年代はこのタグのようです。

タグに記載のあるようにシングルニードル(巻き伏せ本縫い)という珍しい製法で作られており、記事は薄く、独特な質感があります。(ご興味ある方は「シングルニードル 生地」とかでググってみてください)

どれくらい薄いかというとこんなに光に透けるほど。

透明人間が着てるみたい

ボタンも画びょうのような感じで、かつ、等間隔に並んでおらず、その配置もかわいいですし、赤の色もネイビー?が混ざった赤で、そのやや落ち着いた感じも自分の好み。

よかったらクリックで拡大してご確認あれ

当然お気に入りの服となり、ヘビーユーズしていたのですが、やはり年代物で。しばらくするとシャツがほつれ、特にかばんなどがあたる背中部分にダメージが蓄積し、やぶれかけてきてしまいました。

誰かに「それもう着れないっしょ」と言われても「お気に入りだったら多少ほつれててもいいっしょ」と思って着続けていて蔑まれることもよくあるのですが、さすがにそんな自分の限界レベルすらも超えるほどまで来まして、いよいよタンスの肥やしとなっていきました。。

いつかお直しができたら、とは思いつつ、ここまで特殊な作りのシャツをそこらへんのお店に持って行ってどうなるか、もしお気に入りに何かあったら、などと考えるとなかなか行動に移せず、日々が過ぎました。

シャツのお直し・・・ではなく

その当時、小さめなギャラリーの展示をいろいろ観に行っていたら、気になるアーティストを見つけました。

松岡亮さんというアーティストで、その作品はストリートアートにも通じるものを感じつつ、その色彩感覚がとても好みでした。ペイントの作品もあれば、刺繍作品もあり、色彩センスは実家が糸を取り扱うお店か何かで、そこで育まれたと聞いたような。

松岡さんの展示作品を買おうとして値段で無残に散ったり(メールを遡ったら2014年)、その後、作品のかわりにZINEを買ったり(同じく2014年)、手の届く範囲の小ぶりな作品を買ったり(2015年)しながら、松岡さんご本人とも展示の場でお話ししたり、少しだけメールのやりとりをしたりしていました。

ZINEの表紙でございます
ZINEの裏表紙でございます
購入した作品でございます

松岡さんについては、こちらのインタビュー記事もめっちゃくちゃいいのでぜひ!久しぶりに読んだらやっぱりよかった。2015年の記事。
目立つこともなく。主張することもない。ただ生きるように描く。絵描き・松岡亮さんインタビュー

松岡さんはその当時、松岡さんにしか書きえないすてきな文章をメルマガでも届けてくれており(文章の締めは「乾杯!」が多い)いつも楽しみにしていたのですが、とある日のメルマガで「小さなオープンスタジオを開催します」との記載がありました。

読むと、「会場ではミシンを持ち込みその場で刺繍をしたり、絵を展示したり、ゆっくりお酒を飲めたらと考えています。いつものように遊んでいると思いますので、ぜひ覗きにきてきださいね」とのこと。

「へ~、おもしろいことをやるんだな~」くらいに思っていたのですが、ここでふとほつれたシャツのことを思い出します。

ハッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
シャツのほつれたところを松岡さんの刺繍で補修したらいいのでは!?!?!?

好きな物同士を組み合わせられることに気づいて脳汁ドバドバ状態のまま、ポップアップをしている千駄ヶ谷のお店へ向かい、そして刺繍入りシャツが完成!(当時の写真が見つかれば松岡さんが刺繍をしている最中の写真もあるのですが)

キャー!

刺繍部分を拡大するとこんな感じ。

キャーキャー!!!

刺繍部分をさらに拡大。もともと刺繍の下にあるようにこれぐらい赤地がなくなってしまうほどダメージを受けてたんです~

シャツがかなりくたびれてしまっていた分、生地が結構よれてしまったものの、好きなものと好きなものが掛け合わさったことに勝る喜びなし!

こうしてお気に入りのシャツをキャンバスにして、好きなアーティストに作品を作ってもらえました!気分はプロデューサーであります!!(自分以外がすごいのに偉そう)

そんな経緯もありまして、このシャツ、背中以外に袖などがほつれにほつれていても捨てられないのです。
もはや額縁に入れて飾って、作品として楽しむのもいいな~とか思ったりしている近ごろです。

※この記事を書くにあたって松岡さんのことを調べたら、2020年に大阪にできたルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋のカフェスペースでもどーん!と作品が展示されているみたい。(下の記事参照、記事の下の方に松岡さんの作品の写真あり、カフェスペースの壁3面にすべて!)行きたいし、もし行った方がいらっしゃればぜひご感想教えてください!!

大阪に現れた国内最大級の新店舗、「ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋」を大解剖!

こんなスペースでコーヒー飲めたら最高だな~~~

以上、稲垣でした。

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