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「やりたいこと」を仕事に結びつける、ということ

ある家の話。そこは男の子四人兄弟で、それぞれやりたいことがバラバラだ。

 

長男は中学から理系大学の付属に通い、そのままエスカレーターを上がって大学院まで進み、某重工業の研究開発部に入った。

 

次男は小学生の頃からドラム一筋。中学、高校とブラスバンド部に所属して、音楽の専門学校に進み、今はバイトとバンドで生きている。

 

三男は、そんな兄たちを見ながら育ち、今春、長男が通った理系大学に進んだ。

 

そして現在高校2年の四男は、小学2年から始めた剣道を今も続けている。ただ、あまりにも剣道ばかりだったため、世の中のことに疎く、将来についてもまだ暗中模索状態だ。

 

4人の中で、小さい頃からずっと変わらずに、好きなことをやり続けているのはバンドマンの次男だ。今は定期的にライブもしているし、インディーズからCDを何枚かリリースしているが、もちろん、それで食べられているわけじゃない。

 

 

一方、長男は、それがやりたかったことかどうか、好きな仕事かどうかは別として、おそらく同世代の中ではそこそこの給料をもらえているようだ。

 

さて、前振りがあまりにも長くなったが、今回は「好きなことを仕事にする」という話。これについての判断は、人それぞれだと思う。

 

「好きなことを突き詰めて、それで食べていける人」もいれば、「好きなことは好きなこととして取っておいて、仕事はお金を稼ぐことに割り切る人」もいる。

 

自分自身がどうかといえば、実ははっきりしていて、一番好きなものは仕事としては選ばなかった。選んだのは「2番目に好き」なもの。だから、仕事としてやってこれたと思うところがある。

 

なぜかといえば、「好きなもの」が「仕事」になった瞬間に、「好きなだけ」ではいられなくなると思ったから。とはいえ、まったく興味のないものを仕事にするのも厳しいなと思ったので「2番目」という、実に良い加減のセレクトになった。

 

一番「好きなもの」だと、自分の中に譲れないものがある。でも、それが仕事だと「譲らなければならない」場面もきっとあると思う。では、2番目なら良いかといえば、そうでもないんだけど、そのハードルはちょっと低くなる。

 

以前、ある人に言われたことがある。

 

「この仕事が君のやりたいことじゃないことはわかっている。だから、提供できるとすればギャラだ。それでなんとかやってほしい。仕事として」

 

それが「一番好き」を曲げてまでやることだったとしたら、その仕事を受けただろうか。今、これを書きながら思い出している。

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