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「信念あるロビイストは、勝つ能力だけを信じる」、社会派サスペンス『女神の見えざる手』が、僕に与えてくれたもの

「信念あるロビイストは、勝つ能力だけを信じる」、社会派サスペンス『女神の見えざる手』が、僕に与えてくれたもの

 仕事に邁進し、会社を引き継ぎ、会社を立ち上げ、スタッフの独立を応援し、と自分のビジネスマンとしての人生は、今んとこ順調である(当然、いろいろ大変なこともあった。コロナ禍の時は本当にヤバかった…)。

 関西ウォーカーのイチアルバイトから突っ走ってきた身としては、フっとやり遂げた感に浸ってしまうこともあって、M&Aの話を持ち掛けられたりしたときは、なるほど、規模拡大、はたまたアーリーリタイアもありか…みたいな気持ちにもなったのだが、なんかしっくり来なかった。会社を大きくする、上場する(出来んけど)、お金のために株価を上げる、とかも、なんか違う。そういう本心ではない、上っ面のステイタスに振り回されるのもダサイしなぁ~。

つまり目標を見失っていたのだ。

 そんなときに出会ったのが、この映画だった。

参照:Kinofilms 女神の見えざる手

 超凄腕のロビイスト(ロビイストの意味はgoogleでどうぞ)エリザベス・スローンが、米国における銃規制法案に立ち向かう社会派サスペンス。

 さまざまなロビー活動で勝ち続けてきた彼女が、銃保有賛成の(巨大)ロビー団体から依頼を受けた大手会社から離職し、弱小の反対派ロビー会社に就いて、己の能力・才能のみを信じて真っ向勝負を挑んでいく。

 相手陣営との裏のかき合い、モラルもへったくれもない個人攻撃など、仁義なき戦いはスリリングこの上なく、運命の悪戯にも翻弄されたりして、予想外の展開に次ぐ展開に、心と頭、揺さぶられまくりの作品だ。

 ただ、僕は開始20分くらいで、すっかり虜になっていた。

何故、彼女は、この勝負に挑むのか?

もちろん基本的には、銃保有に対する反対の立場であるが、それだけが理由ではない。

 とどのつまり、自分の才能・能力の活かし方、活かす方向性、在り方、それが主人公エリザベス・スローンが無謀とも思えるチャレンジに駆り立てたんだと思う。

 ビジネスのため、全身全霊、命を削るほど、勝つためだけに鍛え上げられた才能を活かすのなら、こういう選択もありなんじゃないか? 

 当然、僕とは段チ(のレベル)のお話しだが、目標を見失っていた自分には、なにかうっすらと光明のようなものが見えた気がした。

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 ウチの会社は、中小(企業)といってもかなり小の方。毎年、赤字黒字でアタフタはしている。じゃあ、なんのために会社をやっているのか?

当然、生きるため、お金を稼ぐため、なのだろうけど、それだけじゃないよな?

僕は学歴もないし、本当に本当に本当に、能力が低い人間だと思う。※文章も下手だし、校正能力も社内で一番低かった編集者だった。今も笑いのネタ。

その分、他の人の才能を活かすことに長けているようだ。

自分で無双かまして大暴れしたいのだが、そんな腕っぷしはない。

それでも、そういう言語化しにくい能力は、経営者としては、うまく作用することがあるようだ。

そんなモワっとした才能の僕に、チャンスを与え続けてくれた恩人や環境のおかげでここまで来れた。

なので、僕も同様の場所や機会を作り続けるために、会社をやってるんだと思う。

うちの会社のスタッフは、なかなかにバランスが悪いのが多い。

ある能力が突出している分、ある部分は著しく欠けていたりする。

僕同様に学歴もなかったり、フリーランスで食いっぱぐれたり、まったく職種が違うところからの(ある種面倒くさい)転職組もいる。

ビビりで、一線を越えられない、臆病なスタッフもいる。(言い訳は一丁前…)

まぁ、そんな奴らにも、倒産せん限りは、チャンスを与え続けられるわけだから、良しとしよう。

僕よりもっと才能溢れている(であろう)人生の後輩たちが今よりもっとブレイクスルーするために会社を存続させる! のが、僕の当面の目標だ。

誰かの才能を活かすのと、会社経営は得意な方だしね。

そんな青臭い目的のためには、決裁権を全て自分でもっておかないと、具合が悪いのが株式会社というもの。インディペンデントでいることが大事なのだ。

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 以来、僕は『女神の見えざる手』を何度何度も見ている。

1回目見たときは、上質なサスペンス・ドラマだった。

2回目以降は、まったく違う見方になってしまった。

これは、“覚悟”の映画だと思う。

僕は見るたびに、主人公エリザベス・スローンの覚悟に涙しながら、自分の覚悟を確認している。

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監督は『恋に落ちたシェイクスピア』のオスカーを獲得したジョン・マッデン。

ジェシカ・チャステインの演技も圧巻。脇役たちの細かい名演も見逃せない。キャスティングが最高なのだ。

今回、この原稿を書くにあたって会社のPC&イヤホンであらためて見たのだが、音楽が秀逸だと再確認。

吹き替え版の声優陣も素晴らしい。

何度も何度も見る映画は、そう多くはない。

なので、出会えたことに感謝感謝。

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