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『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ』とある記事から振り返る9年前の思い。

『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ』とある記事から振り返る9年前の思い。

映画業界が、深夜アニメへの捉え方を変えたころ

今から12年前、『映画けいおん!』(11)の公開にあわせてムック本の編集をお手伝いしたのをきっかけに、それまで実写中心だった私の仕事の傾向が少しずつ変わり始めました。その辺りから興行的に軽視されていた“深夜アニメ”の劇場版に映画業界が注力し始めたと自分は感じています。

深夜アニメの映画化は、固定のファンに向けたご褒美興行として、とても中~小規模なものだったと思います。それが「映画をきっかけに、ぜひテレビアニメを見てほしい」というPR展開へ展開し始めた時期でした。その流れに連なるのが「魔法少女まどか★マギカ」や「ラブライブ!」「ガールズ&パンツァー」などで、普段アニメを見ない人でも“映画きっかけ”でハマったという方も結構いたのではないでしょうか。

…と、いつの間にかこのブログに付された「映画業界20云年の編集者~」ぽいことを導入にしてみる。自分で名付けたわけでは無いのだけど…。で、ここからが本題。

2014年1月に公開された『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ』。人気ゲームシリーズ「アイドルマスター」、そのテレビアニメの劇場版も、この流れのなかの一作だと思います。

テレビアニメでは、天海春香、如月千早をはじめ13人のアイドル候補生が所属する765プロを舞台に、彼女たちの成長を描いてきました。『輝きの向こう側へ』では、名実共にトップアイドルとなった彼女たちがキャリア初のアリーナライブに向けて合同合宿を行う展開から始まります。そこでバックダンサーとして参加する7人のアイドル候補生との出会いから起こる出来事をきっかけに、春香たちのトップアイドルとしての心の成長が丁寧に綴られます。

『輝きの向こう側へ』のストーリーはざっくり以上のような感じです。当時、某映画メディアにて、この映画きっかけでアイマスに初めて触れる方に向けた企画として、リンクのようなニュース…というより“勧誘”コラムを書かせてもらいました。

2008年頃、私は情報誌でニコニコ動画関連の記事を編集した際に見かけた二次創作動画からアイマスに興味を持ち、気づけばXbox360版のゲームで遊びまくっていました。アニメ化からの映画化はプロデューサー(ファンの呼称)視点でとても嬉しい出来事で、鑑賞直後の夜、主題歌をリピート再生させながら原稿を書いたことを覚えています。

“通過点”の向こう側、その輝き信じて

この記事で、映画について「アイマスを愛し続けた人々のプロデュースが結実した“通過点”」と書きました。メディアミックスでは映画化が“到達点”と位置づけられることもありますが、アイマスには、まだまだ次のステージ――具体的なビジョンは想像もつきませんでしたが、さらなる高みを目指して輝き続ける熱量があると信じられての言葉でした。

あれから9年経ちました。アイマスは今も高い熱量で輝き続け、ゲーム、ライブ、キャラクターを軸にさまざまな企画やコラボレーションでファンを楽しませ続けています。この原稿を書いている最中も、シリーズの原点と言えるアーケード(ゲームセンター)に新たな筐体が凱旋するニュースを耳にして驚かされています。

公開当時の入場特典より

また、『輝きの向こう側へ』に登場した7人のアイドル候補生も登場する後継シリーズ「アイドルマスターミリオンライブ!」が今年アニメ化され、3幕構成で劇場上映されます(後日テレビシリースとして放送)。

先輩アイドルの姿に圧倒され、葛藤したであろう7人。彼女たちと再びスクリーンで会える日がやってくる。9年前にぼんやり心に願った願いがカタチになることに、「アイマスを愛し続けて良かった」という思いを再び噛み締めまました。これもまだまだ“通過点”。大盛チャーハンでカロリーを蓄えながら、彼女たちの凱旋を待ちます。

(ここからは映画終盤のちょっぴりネタバレあり)

締めくくりに、あるシーンについての話を。『輝きの向こう側へ』は、アリーナライブでアイドルたちが主題歌「M@STERPIECE」をフル歌唱してエンディングを迎えます。直前、彼女たちと縁ある人々が客席から思い思いにステージを見つめています。その中で765プロの事務員・音無小鳥が両手でサイリウムを抱えながら、自然とあふれる涙を拭う姿が映し出されます。

公開当時の入場特典より

小鳥さんはアイドルたちの苦悩と成長を間近で見てきた人の一人。ゲーム、映画を通してプロデューサーという視点で彼女たちを見守ってきた側にとって、その涙は自分たちの涙でもある。そんな思いで自然と一緒に泣いてしまうんです。

あ…見直しながら原稿書いているけど、また泣けてきた。

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