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Google広告の機械学習の精度が限りなく高くなっている中でWEB担当者はどう生き抜くか
Web担当者Forumが主催の「Web担当者Forum ミーティング2019 秋」の中で株式会社JADEがセミナーをする、ということで参加してきた。
株式会社JADEについてはこちらの記事をご覧いただくとよくわかるかもしれない。
要はSEOの周辺で第一線を走っている長山一石さん、辻正浩さんがメインで立ち上げた会社である。
このおふたりがいっしょに何かをやる、という時点で10年以上ウェブに関わってきて、おふたりの記事を読み続けていたいちウェブ業界人としては「おもしろそうだぞ」と思った。
で、その方たちがセミナーをする、ということで参加してみたのだ。
上記のようなJADEの立ち上げ経緯もあるので、SEOがメインのセミナーなんだろうと思って参加したのだが、実際個人的に一番おもしろかったのは広告と機械学習に関する部分の話だった。
以下は株式会社JADEに立ち上げ時から参加している小西一星さんがメインで話されていた内容である。(小西さんもリスティング広告業界の第一線で活躍されてきた方)
コンテンツターゲティングがコンテンツターゲティングではなくなった瞬間
小西さんが以前(5年前くらいとおっしゃっていただろうか)に担当していたエステ系の案件で、コンテンツターゲティング広告(サイトの内容に連動して広告が表示されるコンテンツ連動型広告)の運用をしていたときの話。
当然「エステ」というワードでコンテンツターゲティングの広告を出していたそうなのだが、普通「エステ」に関連する内容が書いてあるブログやサイトなどに広告が表示されるはずなのに表示されない。
一方でなぜか「恋愛」に関するサイトに広告が配信され始め、そこでコンバージョン(問い合わせ)が取れた。
その後「占い」「不倫」などのサイトにも広告が出始めた。かつ、そこでもコンバージョンが取れた。
さらに「カフェ」「東方神起」「ジャニーズ」などのワードでも広告が配信され始め、そこでもコンバージョンが取れた、ということがあったらしい。
その当時は機械学習も今ほどもてはやされていなかったため、小西さん自身もなぜこのようなことが起きてしまっているのかわからず、小西さん周辺のウェブ広告業界の第一線の方たちも誰もその仕組みに気づけなかったようだ。
コンテンツターゲティングがコンテンツターゲティングではなくなったように見えた理由
上述のようなことが起こったのはなぜだったのか。
それは、機械学習によるものだったのだ。(小西さん自身その当時は意味不明だったが、数年後にその裏が取れた、というようなことをおっしゃっていた)
今回のセミナーの長山一石さんのお話から拝借すると、
機械学習は
・大量のデータを処理し
・新発見の自動化をし
・改善速度を向上させる
ことができる。
この仕組みによって、Googleが「エステ」に興味があるユーザーは「恋愛」に興味があり、「占い」「不倫」「カフェ」・・・などのワードにも興味があるユーザーと近い、ということを大量のデータから導き出し、広告を配信していた、ということなのである。
セミナーの中でも印象的だったのが小西さんの「人間の理解を超えている」という言葉。
もはや、人間の限度のあるインプットでは、Googleの機械学習のスピードについていけない。
今回の例で言えば「エステ」から「ジャニーズ」に飛躍するまでには、たどり着けないわけではないだろうが相当な時間がかかるし、担当者としてクライアントを巻き込みながらそれを推し進めるのはさらに難しいことだろう。
機械学習は、人間の先の先の先を読んで、上述したようなユーザー層に広告を配信して、さらにそこから実際成果が出ていた、ということなのだ。
数字面から分析できる範囲の内容は、それくらい機械学習の精度が高まっている、と言える。
自分が広告担当者としてGoogleとやりとりをしている中でも、ここ数年は自動化による最適化を幾度となく勧められていた。
そのたびに「自動化なんて怪しい」「広告ビジネスをしているGoogleの言うことより自分の経験則の方が安心だ」と思っていたが、小西さんのこの経験の時点で数年前、かつ、その後もGoogleは膨大なデータを毎日、毎時間、毎秒、いまこの瞬間も処理しているわけであって、その精度はさらに上がっているのは間違いない。
これらの内容を話されたあとでの小西さん自身の「広告運用の仕事はなくなると思っている」「作業はかなり減っている」という言葉は重みがあった。(笑いながら言っていたが)
では広告運用担当者に何ができるのか
昔はシソーラス(類語)を使ったキーワードの発掘などで頭を使うことが仕事でもあり、腕の見せ所でもあったが、その部分も機械学習にとって変わられる。というか、とにかく早いので先を行かれて太刀打ちできない。
ただしできることが何もなくなるか、というとそんなこともない。
集客部分の任せられる部分は機械に任せて、サイトの改善をする、集客した人の問い合わせ率を上げる部分に時間を使うことになる。(集客面でも全くなくなるわけではないが、初期の設定やクリエイティブ制作などの一部になる)
サイトを改善することでユーザーに行動をしてもらえて売上が上がる。
売上につながらなくとも、何かしら行動をしてもらえればより精度の高いターゲティングもできるからだ。例えば問い合わせページに来た人だけにリターゲティングする、など。
長山さんも小西さんも広告運用だけを見たら仕事はなくなっていくかもしれないが、全体を俯瞰して見られるウェブコンサルタントなら仕事は成り立つのではないか、というような話をしていた。
あとは、機械学習側で人間ができることとなれば、とにかく機械学習のためのデータを機械学習システムに食わせること、とにかく処理の量を上げればその精度は上がるはずなので、いかに大量のデータをインプットできるかだろう。
SEOの施策と広告運用の施策は限りなく似た内容になる
これもセミナーで聞いていて、自分自身の実感としても大いにうなずけた部分だ。
小西さんは広告のスペシャリストとして、SEOのスペシャリストであるJADE社内の辻さんともよく議論をしているらしい。
その中で、広告面でサイトをよりよくしていく動きはSEOでサイトをよりよくしていく動きと限りなく似てきている、という話になったらしい。
実際自分が作業をしているレベルでも、SEOをもとに記事をよりよくしていく動きはキーワードの分析にも繋がり広告にフィードバックできるし、広告で集客したユーザーの問い合わせ率を上げようとして導線改善することは内部リンクの増加やユーザビリティの向上、ひいてはサイトの評価の向上になり、SEOにもプラスの影響をもたらす。
場合によっては得られたノウハウがプロダクトの改善につながることもあるはずだ。
「SEO」と「広告」を分けて議論すること自体があほらしくなってきている状況であると言えるし、自分がやっていることが「SEO」でも「広告」でもないと感じていたし、なんとなく「SEO」とも「広告」とも言いたくなかった自分としては、すごく腑に落ちた。
結局やるべきことは伝えるべき情報を発信し、スムーズに見てもらえるようにする、というごくごく当たり前のことなのである。
ということで、Google広告の機械学習の話から、WEB担当者が今後どのように生きていくべきか、というような話まで考えさせていただいて、とてもありがたいセミナーだった。
株式会社JADEの長山さん、小西さん、ありがとうございました。