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宮城県の離島、「出島」がいまアツい

宮城県の離島、「出島」がいまアツい

2年ほど前から、大きめの連休になるとわたしと両親、伯母、義伯母、そして母の従姉妹やそのまた娘息子らと訪れる場所がある。それが、宮城県女川町の離島「出島(いずしま)」だ。もともとは伯母が随分前から友人らと通っていたといい、そこに、伯母の妹である母や従姉妹たちを加え、次第に大所帯化していった。

※以降写真を載せていますが別日のをかき集めているため、一眼だったりiPhoneだったり晴天だったり曇天だったりしてすみません。

石巻線終点からさらに少し足を伸ばす「出島」


“離島”と書いた通り、宮城県の石巻線の終点にある女川駅から、さらに船で20~30分(経路による)の場所にあり、住民のほとんどは高齢者のようだ。2011年の東日本大震災により海から高さのないエリアの住宅や宿泊施設、店舗は流されてしまい、現在は、住民だった方々も本土に暮らしつつ漁業などを行うために島へ足を運んでいる状況らしい。

まもなく本土と島をつなぐ橋もかかるというが、現状船しかアクセス方法がない。そのためか、島にある売店らしきものといえば、海沿いにあるほとんど売り切れの自販機だけで、非常に正直に言ってしまえばかなり不便なのだが、これがまた面白かったりもするのだ。うちの家族や親戚たちは、「念のため、念のためね!」と、大幅に余分にアルコールを買い込み、汗をかけば「これしか飲み物無いからね!」と昼からアルコールを飲んでいる(※狭い島なので大抵の場所は歩いていける)。わたしのアルコールの強さはもう先祖代々脈々と受け継がれた“血”によるものなのだと痛感する。

堂々のオーシャンビュー「民宿いずしま」

ここからは、出島のなにがどう面白いのかを語らせていただきたい。
まず、“出島に行く”という行為に原則として伴ってくるのが、「民宿いずしま」への宿泊だ。読んで字の如く民宿であり、出島唯一の宿泊施設である。

民宿いずしま


主に2人の男性が運営を行っており、抜群に美味い料理を振る舞ってくれるのも、この男性のうちの一人だ。旅館やホテルではなくあくまで“民宿”のため、いわゆるアメニティは全く無いので、そこは気をつけてほしい。あるのは美味すぎる料理と寝床のみ、くらいの気持ちでいろいろと持ち込んでいただきたい(※持ち込みできるものに関してはHPなどを参照)。

この民宿いずしまにはいくつかプランがあり、大きく分けると普通にただ宿泊をするプランと、「開拓者プラン」という、一緒に島を盛り上げていくアクティビティ付きのプランだ。出島は、人不足が甚だしく、そのせいもあり草花などが健やかに育ちすぎている節がある。例えば、民宿いずしまは一応海が一望できる場所にあるのだが、すくすくと伸びた松や雑草などがその視界を遮り、草木オーバー・ザ・海、という眺めになっていた(現在はかなり拓けてきている)。なので、少しでもいい具合になるよう、雑草や、資格が不要なレベルの木の伐採などを手伝う代わりに、少し割安で宿泊することができるのだ。


弊親族たちは、かなりアウトドアかつこういうのがとにかく好きで、弊父親に関してはガーデニングが趣味のため車のトランクには常に草刈り用のチェーンソーが積んでいるほどで、開拓者プランでなくても手伝いをしていたりする。もちろん、まさに“都会の喧騒を離れた”場所にあり、音といえば、木々の揺れる音、海のさざなみ、鳥のさえずりと、自然が鳴らすものしかなく、ただボーッと過ごすにも抜群のロケーションだ。民宿の庭先でゆったり本なんか読んじゃったりしても最高だろう。

島の開拓以外にも楽しみ方はいろいろある。絶賛調整中のトレッキングコース(本当に山道なので挑戦したい方はそれなりに注意してほしい)を楽しんだり、釣りに勤しんだり、滅多に人が通らない道路をたどりながら島をぐる~っと巡ったり。人工のエンタメが全く無いからこそのアドベンチャーに浸るのが出島の醍醐味と言っていい。
ちなみに、一応「素泊まりプラン」もあるが、先述の通り食料を得られるかもしれない場所が自販機しかないし、出てくる料理が美味すぎるので、食事付きのプランにすることを強く推奨する。

意外にもスケジュールはカツカツ

「開拓者プラン」にスケジュールの例の記載があるが、ガチガチに固まっているわけでもないので、ざっくりとわたしたちのスタンダードな楽しみ方を書いていく。


船は1日3便で、2便の10時30分目指しで自宅を出る。福島の真ん中あたりのICからだと、7時に出て9時30分過ぎ~10時くらいには着く。2便に乗り込んで11時過ぎに出島の最寄り「寺間港」に着き、ちょうど昼時なので早速お昼を味わい、一息ついたところでそれぞれが雑草刈りやゴミ拾いへと繰り出していく。だいたい16~17時ごろまで労働に勤しみつつ、手が空いたら釣り好きたちは釣りへ、わたしや母、伯母、義伯母、義再従姉妹は猫を見に港へ、なかなかの力仕事に励んだ男性陣は昼寝…… という感じで思い思いの時間を過ごし、18時ごろに夕食。スーパーアルコールタイム突入である。運営のお2人も交え、出島の将来に思いを馳せつつ、23時~24時にみな就寝する。


2日目は、こちらも2便(11時20分)に発つ想定で、6時30分~7時ごろには全員が起床する。なお、釣り勢は4時30分には起き、出発ギリギリまで魚と向き合っていることが多い。わたしたちは、朝ぱぱっとご飯を済ますと8時~9時ごろに毎回欠かさず、いまは廃校となり、いざという時に放射線から島民を守るシェルターに姿を変える中学校を見に行く。なんとなくその辺をウロウロしたあと、出港の少し前に民宿いずしまに戻り、運営の2人に別れを告げ、女川駅へと向かう……、という感じだ。女川駅前は道の駅のようになっており、こちらもこちらで地元の食材を使ったグルメや、ハンドメイド作家のポップアップ、宮城県のお土産選びを楽しめる。それもあり、少し早めに島を発っている。なにもない島のはずなのに、妙に忙しいのが面白い。暇な時間が全く無いのだ。


なお、民宿なので完全貸切になることもあれば、知らない人たちと一緒になる、ということも結構ある。わたしが初めていずしまに訪れた時は貸切状態だったのだが、2回目では、よくいずしまに訪れているという夫婦と一緒なのだと事前に知らされていた。夕飯などが同じ部屋(言えば別にすることもできるかもだが)になるため、親と「貸切じゃないのか~」なんて言っていたのだが、たまたまご夫婦が両親らと同世代だったり、奥様の方が我々の地元である福島で青春時代を過ごしていたり、なんといっても運営の方の志に胸を打たれていたり…… といういろいろな共通点を通じて秒速で打ち解け、その後、出島訪問の日取りをあわせたり、台風で一泊が叶わなくなった時には、我が家で飲み会をしたり、普通に遊びに行ったりと、結局大の仲良しになってしまった。大人が新しく友だちを作る様子を見ているのがシンプルに微笑ましくて、人間好きのわたしとしてはそれもまた面白かった。

いずしまに、行こう!


出島は、なかなか人を選ぶ場所ではあると思うのだが
・多少不便でもとにかく都会の喧騒から離れたい人
・海鮮好き
・釣り好き
・猫好き
・なんかこういう体験が好きな人
にはオススメしたい。個人的には、それこそご家族で行くと面白いんじゃないかと思う。同じ方針・趣味趣向の友だちが揃えば良いのだが、多分、なかなか難しいんじゃないかと思う。車も要る場所だし。デジタルネイティブ世代には少々難儀な場所であることはぶっちゃけ否定できない(ちなみに電波はバキバキに入る。ただしWi-Fiはなし)。だから、デジタル非ネイティブを巻き込むくらいがちょうどいい。

まだまだ発展途上のエリアではあるが、来年には橋がかかる予定のため、逆に言うと“とことん自然”な場所を楽しむならいまがチャンスだと思う。言語化しがたい面白さのある場所なので、興味があるなら、まずは一回足を運んでみてほしい。

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