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ソニー「HANAMOFLOR」は見守り介護ロボットの理想形
孫のようにふれあえるコミュニケーションロボット
現在、世の中に普及、または実証段階のロボットは、その大半が全体的に「白」のカラーリング。本メディアで紹介してきたロボットたちも実在・非実在を問わず、「身の周りをお世話するロボットは『白いボディ』が正装…と言わんばかりの普及っぷりだ。
そんななか、ソニーグループが開発・実証を進めている「HANAMOFLOR(ハナモフロル)」は頭部や胸部にブラウン基調のパーツを配色している。このことで見た目により愛らしさと人間らしさを与えたデザインとなっていて、革新的だ。
「HANAMOFLOR」こと「ハナちゃん」は、動画の見た目や話し方、しぐさが示す通りの自律移動型の「子ども型見守り介護ロボット」。2023年11月より日本科学未来館にて、人間の老化をサポートする未来の技術として紹介、一般向け展示もされている。
高齢者介護、特に老人ホームのような施設では、一人の介護スタッフが複数の高齢者をケアするなか、日常のリビング空間などでの高齢者の見守り(とコミュニケーション)が手薄になりがちという。そうした状況のサポートを想定したケアテックとして開発されたのがハナちゃん。
手と声で生まれる親密なコミュニケーション
ハナちゃんは、「子ども」をイメージした姿形と音声で、お年寄りが孫と触れ合うように親しめるのが特筆すべき点だ。以下はソニーが行った実証の様子であるーー。
子ども視点で接しながら、検温や体操のうながし、おはなしや歌によるコミュニケーションをこなす。まさに、おじいちゃん・おばあちゃんが大好きなしっかりものの孫といった存在感。
腕にタブレットを持たせ、そちらの端末情報と連携しコミュニケーションを図る。介護ロボットの場合、これを胸部などに埋め込んだモニターで行うケースもあり、それも有用的だ。しかしロボットにあえてタブレットを持たせる…という、一見合理性に欠けるように見せる機能も、「より人間らしい、人間に近い身近な存在」としてデザインされたのなら大変納得。その人間ぽい動作がハナちゃんの愛らしさ、親しみやすさを生み出しているのだろう。
ん今年3月に開催された事業者向けのケアテック展示会「CareTEX東京2024」でも、来場者とこのような感じで自然なコミュニケーションをとる光景も。人間側も楽しそうーー。
会話のパターンは予めプログラムされたものを状況に応じて発する。頭頂部のカメラセンサーで話し相手が自分を見ていないと認識すると「こっちを見て」とうながす。自然と見守りを兼ねつつ注目させる姿がなんとも微笑ましい…。
現在は有償PcC(効果実証)への協力施設を募集しつつ実用化に向けた研究開発を続けているそう。コミュニケーションの本質的な部分を掘り下げて人間に近づけている。そんなロボットへの愛着と介護現場での心温まるやり取りが容易に想像できる、まさに見守り介護テックの理想像を見た気がした。