Blogブログ
高齢者の話し相手として期待!ウワサのデジタルヒューマン「AI野々村真」と話してみた。
疲れ知らずの話し相手”デジタル・ヒューマン”
デイサービスや老人ホームでの”高齢者の話し相手”をケアテックで補い、介護者の負担を軽減する。この課題を、対話が成立するコミュニケーションロボットの導入で解消する事例が登場している。例えばーー
ロボット同様、コミュニケーションをサポートするケアテックとして期待されているのがAI音声対話型の”デジタルヒューマン”。デジタルヒューマンは、情報を学習させた生成AIとアバターを組み合わせ、人間らしい話し方や表情を再現、コミュニケーションを行う。近年は施設の受付や案内係として活用されるケース(デジタルサイネージ)を見かけた人もいるのでは?
ネットでも話題に!”AI野々村真プロジェクト”
“デジタルヒューマン”は、実在の人物のパーソナリティを情報学習させ、さらに表情・仕草・音声を再現させることで、その人そっくりなコミュニケーションを行わせることもできる。
そんなデジタルヒューマンの介護現場への導入を目指し、6月17日、タレントの野々村真さんがモデルを努めた「AI野々村真」プロジェクト」が発表された。発表にあわせて、そのメイキング映像と、完成したAI野々村真と野々村さん本人の対話がYouTubeで公開された。
プロジェクトには、自然な対話を実現するAIキャラクター作成に携わるSpiral.AI、野々村さんが所属するスターダストプロモーションなど全9社。6月より学研ココファン、全研ケア、日本ロングライフが運営する高齢者住宅、介護施設での実証実験が始まっているという。
この「AI野々村真」、Spiral.AIの代表者のコメントによると相当なこだわりをもって開発されたようで、AIがモデルの個性に寄り添うよう、会話の間の空け方、イントネーションなどの本人の癖を反映させるために10時間以上の収録(データ取得)を行い、本人の思想を引き出すため数百問(!?)の質問を用意し、本人の考え方やエピソードの情報も会話に自然と反映されると言う。(参照元はこちら。非常に丁寧な解説ポストなので、ぜひご一読を)
野々村さん本人のコメントによると――
AIということで撮影も最先端かと思いきや、何百問、何千問という質問に一問一問答え、活字を読み上げるアナログ作業でした。撮影や録音は何時間もかかり、人間の野々村真が壊れかけました(笑) (中略)テレビで僕を応援してくださっているおじいちゃんおばあちゃんに、今度はAIになってお会いできるのが楽しみです。息子のように沢山話しかけてくださいね。そして、この取り組みが介護施設で働く方々の助けになれば幸いです。
Spiral.AI、高齢者の認知機能改善に向け、「野々村真」氏のデジタルヒューマンを介護施設で活用する実証実験を8社共同で開始
――なかなかハードな収録・質問回答だったよう。その体験を朗らかな笑いに変えてしまう人柄が文面からも伝わり、「数々の情報番組に出演し、高齢者にも親しみやすい存在」(Spiral AI社プレスリリースより)というモデル選任理由にも納得だ。
AI野々村真、AWS Summitに登場!
そんな「AI野々村真」と実際に会話できる機会が、先日6月20~21日に開催された「AWS Summit 2024」にて設けられ,せっかくの機会なので足を運んでみた。
AWS(Amazon Web Service)が提供するクラウド・アプリケーション・サービスの学習、最新情報や事例を共有する一大イベント。そのイベントブースにてSpiral AI社が「AI野々村真」を出展した。
早速、「AI野々村真」がどんな反応、コミュニケーションを行えるのか会話させてもらった。なお、AIのディスプレイでの表情・反応などは実証段階のため今後改善されるそうなので、その前提でご覧いただきたい。
ますは趣味を尋ねられたので「映画」と回答し、そのままどんなジャンル・作品が好きかという映画トーク。さらりと「世界ふしぎ発見!」の話題を織り交ぜ、そこから話を膨らませるのは流石! さらに映画の話題が続く――
こちら側の回答にあわせて、AIが情報を収集し野々村さんの考え方や話し方に寄り添う形で自然な返答と、さらに会話を広げる(深める)質問を投げかけてくる。AIは対話相手にあわせたコミュニケーションを行っているので、野々村さん本人が該当作品を見て、そう思ったとは限らない。ここだけは誤解のないように…と注釈しないといけないくらい自然な会話だ。
ちなみに「山崎隆」の表記は、正しくは「山崎貴」だが、対応いただいたSpiral AIの方も「(山崎監督の)お名前の漢字が違いましたね~」と気付かれていたので、こういった部分が今後アップデートされていくのだろう。
この「AI野々村真」は、高齢者の話し相手として、話題を切り替えながら会話が途切れないようコミュニケーションを続ける仕様になっているそう。なので――
――という感じで、こちらから終わらせない限り会話が続く。こちらから話題を振るには、「AI野々村真」の話をぶった切って、割り込んでいく必要がある。少々乱暴に思えるかもだけど、AIは別に怒らないし、話続けたい、話したいお年寄りにとっては喜ばしい存在だろう。話したいときに、疲れもせず嫌な顔も見せず朗らかに、好きなだけ相手してくれるのだから。
これだけのコミュニケーションを、ヒトの代わりに行ってくれることで、どれだけ介護者の負担を軽くすることができるのか、実証実験を経てのアップデートと、2025年の正式導入へ向けた今後の展開へ期待せずにはいられない。